文章の基本

0・説明

文章というのは始まりがあって終わりがあり、そして基本的にそれぞれの文がその直前の分と繋がっている必要があるらしい。なぜかは分からないが、おそらくそうでないと文章というまとまりだと認識されないのだろう。この文章ではそれら、つまり文の集まりを文章にすることについて書く。例文には青空文庫にある寺田寅彦の「アインシュタイン」を使った。

 

1・単語による繋ぎ(抽象化)

アインシュタインの仕事は少なくも大部分たしかに成効である)(これ)については世界中の信用のある学者の最大多数が裏書をしている。仕事が科学上の事であるだけに(その成果)は極めて鮮明であり、従ってそれを仕遂げた人の科学者としてのえらさもまたそれだけはっきりしている。

一番基本的な方法として直前の文やその一部を単語として扱うことで繋げるというのがある。(「しかし」「ところが」などもこの括りとなる)

 

2・断絶

改行などで断絶させた場合、繋ぐ対象を広く、また抽象的にできる。

 

3・具体化

それにもかかわらずレニンのえらさは一般の世人に分りやすい種類のものである。取扱っているものが人間の社会で、使っているものが兵隊や金である。

 前後の文が単語では繋がってない。これは具体化という関係性である。

 

2+3の例文

 到底分らないような複雑な事は世人に分りやすく、比較的簡単明瞭な事の方がかえって分りにくいというおかしな結論になる訳であるが、これは「分る」という言葉の意味の使い分けである事は勿論である。
 アインシュタインの仕事の偉大なものであり、彼の頭脳が飛び離れてえらいという事は早くから一部の学者の間には認められていた。しかし一般世間にはやされるようになったのは昨今の事である。(遠い恒星の光が太陽の近くを通過する際に、それが重力の場の影響のために極めてわずか曲るだろうという、誰も思いもかけなかった事実を、彼の理論の必然の結果として鉛筆のさきで割り出し、それを予言した。それが云わば敵国の英国の学者の日蝕観測の結果からある程度まで確かめられたので、事柄は世人の眼に一種のロマンチックな色彩を帯びるようになって来た。そして人々はあたかも急に天から異人が降って来たかのように驚異のまなこを彼の身辺に集注した。)

2段落目からは前段落の具体化となっている。また()で括った部分は繋がっており、それら全体が前文の解説となっている。

 

4・論理による繋ぎ

 物理学の基礎になっている力学の根本に或る弱点のあるという事は早くから認められていた。しかし彼以前の多くの学者にはそれをどうしたらいいかが分らなかった。(あるいは)大多数の人は因襲的の妥協に馴れて別にどうしようとも思わなかった。()力学の教科書はこの急所に触れないように知らん顔をしてすましていた。

「また」「あるいは」などで分岐させる事ができる。無い場合もある。

「逆に~」「少なくとも」などもここに入れたい。

 

5・その他

アインシュタイン」からは見つからなかったが断絶する前は文を適当に付け加えれる。また小説とかだと時系列という関連性もある。